2014年07月17日
プレートキャリア
こんにちは。
今回はプレートキャリアについての考察を始めたいと思います。
胴全体を覆い、様々な脅威から身体を守るのが目的だったベスト系統の設計思想とは異なり、防弾プレートを保持する為だけの軽量なボディアーマーをプレートキャリアと呼びます。
即応性、機動性が重要な海兵隊はこの軽量なボディアーマーに目を付けました。
そしてSPC(Scalable Plate Carrier)を2008年から試用し、2009年には本格的に使用されるようになりました。
SPCはそれまでのベストとは異なり防弾面が少ないですが、かなり軽量な為隊員から重宝されたようです。
しかし、カマーバンドはサイドSAPIが外付けでポーチを配置するのに非常に邪魔だったためか、内部に収納出来るMTVのものと変更する改造が成されたものがほとんどです。
SPCにはグローインプロテクターが付属していないため、これもMTVやOTVから移植することがあり、SPC使用例の半数程度は装着した状態のものです。
胸に大きな四角のベルクロがあるので大抵ネームパッチを使用します。
ネームパッチについてはまたの機会に……
SPCの後継にISPC(Improved Scalable Plate Carrier)というものがあるという情報がありますが、調べてみると従来のSPCにMTVのようにSAPIを内蔵出来るよう改良された新型SPC用カマーバンドを取り付けたもの、もしくは後述するMCPCをSPCの改良と勘違いしたと思われる海外の記事がいくつかありましたので、実態は不明です。(米Wikipediaでは納入されたと記載)
そしてSPCの成功を経て2012年頃新規開発されたのがPC(Plate Carrier)です。
PCでは名称がわかりにくい為、日本ではMCPC(Marine Corps Plate Carrier)と呼ばれる事もあるので当ブログでもMCPCの略称を便宜的に使用させていただきますが、現場には通じない略称ですので、悪しからず。
MCPCは防弾面積、対砲弾性能を向上させたものです。
そしてSPCとは胸のベルクロの形状が変更されたので、ネームパッチも新規設定する大隊も多いです。
さて、ベストの中でお話していなかったIMTV(Improved Modular Tactical Vest)はMCPCと同時期採用で、デザインもほぼ同じものとなってしまいました。
どちらもSPC、MTV等を参考に入れ、機動性重視のプレートキャリアの防御性能を上げたMCPC、防御性能重視のベストを軽量化し機動性を上げたIMTVが結果として似たもの同士となってしまったようです。
違いはほぼありませんが、MCPCの首、胴部分の防御面積を増やし、その分ショルダーストラップ等の負担が掛かる部分を強化したものがIMTVといったところでしょうか?
こちらのブログ様でも紹介されています。
http://marinexmarinexmarine.militaryblog.jp/e410296.html
IMTVは後方支援などにまわされてしまった模様です。
ボディアーマーの主流の期間について纏めるとおよそ
OTV 2002-2006
MTV 2006-2013
SPC 2009-2013
IMTV/MCPC2012-
といった具合ですね。
プレートキャリアについての考察はここで閉じさせていただきます。
次回はポーチについてのお話です。
それでは、また( ´ ▽ ` )ノ 続きを読む
今回はプレートキャリアについての考察を始めたいと思います。
胴全体を覆い、様々な脅威から身体を守るのが目的だったベスト系統の設計思想とは異なり、防弾プレートを保持する為だけの軽量なボディアーマーをプレートキャリアと呼びます。
即応性、機動性が重要な海兵隊はこの軽量なボディアーマーに目を付けました。
そしてSPC(Scalable Plate Carrier)を2008年から試用し、2009年には本格的に使用されるようになりました。
SPCはそれまでのベストとは異なり防弾面が少ないですが、かなり軽量な為隊員から重宝されたようです。
しかし、カマーバンドはサイドSAPIが外付けでポーチを配置するのに非常に邪魔だったためか、内部に収納出来るMTVのものと変更する改造が成されたものがほとんどです。
SPCにはグローインプロテクターが付属していないため、これもMTVやOTVから移植することがあり、SPC使用例の半数程度は装着した状態のものです。
胸に大きな四角のベルクロがあるので大抵ネームパッチを使用します。
ネームパッチについてはまたの機会に……
SPCの後継にISPC(Improved Scalable Plate Carrier)というものがあるという情報がありますが、調べてみると従来のSPCにMTVのようにSAPIを内蔵出来るよう改良された新型SPC用カマーバンドを取り付けたもの、もしくは後述するMCPCをSPCの改良と勘違いしたと思われる海外の記事がいくつかありましたので、実態は不明です。(米Wikipediaでは納入されたと記載)
そしてSPCの成功を経て2012年頃新規開発されたのがPC(Plate Carrier)です。
PCでは名称がわかりにくい為、日本ではMCPC(Marine Corps Plate Carrier)と呼ばれる事もあるので当ブログでもMCPCの略称を便宜的に使用させていただきますが、現場には通じない略称ですので、悪しからず。
MCPCは防弾面積、対砲弾性能を向上させたものです。
そしてSPCとは胸のベルクロの形状が変更されたので、ネームパッチも新規設定する大隊も多いです。
さて、ベストの中でお話していなかったIMTV(Improved Modular Tactical Vest)はMCPCと同時期採用で、デザインもほぼ同じものとなってしまいました。
どちらもSPC、MTV等を参考に入れ、機動性重視のプレートキャリアの防御性能を上げたMCPC、防御性能重視のベストを軽量化し機動性を上げたIMTVが結果として似たもの同士となってしまったようです。
違いはほぼありませんが、MCPCの首、胴部分の防御面積を増やし、その分ショルダーストラップ等の負担が掛かる部分を強化したものがIMTVといったところでしょうか?
こちらのブログ様でも紹介されています。
http://marinexmarinexmarine.militaryblog.jp/e410296.html
IMTVは後方支援などにまわされてしまった模様です。
ボディアーマーの主流の期間について纏めるとおよそ
OTV 2002-2006
MTV 2006-2013
SPC 2009-2013
IMTV/MCPC2012-
といった具合ですね。
プレートキャリアについての考察はここで閉じさせていただきます。
次回はポーチについてのお話です。
それでは、また( ´ ▽ ` )ノ 続きを読む
2014年07月12日
靴
こんにちは。
今回は足回りについての考察を始めたいと思います。
2002年頃採用されたこちらは
Hot Weather Steel Toe Boots/Marine Corps Boots/Desert Boots/Coyote Boots などの名前で知られています。
踵部分のグローバルアンカー、着脱し易いスピードレース仕様などが特徴的なブーツです。
belleville社他数社から納品されています。
そしてこちらは
RAT(Rugged All Terrain) Boots
2011年頃からWellco/BATES/Danner などから納品されていたブーツです。
先ほどのブーツと概要は変わりませんが、踵、つま先部分に補強が加えられています。
残念ながらBATES社のものではリコールがあり、2014年初頭に生産中止となってしまいました。
そして最近は、海兵隊新型ブーツ制作の動きもあります。
紹介したブーツの左足にはドッグタグをこのように装着します。
首に付けるとうるさい上、頭が飛ばされた際に個人を認識できなくなる為だそうです。
靴下についてですが、主にコヨーテカラーの支給品、白色の冬季防寒用のもの、少数ですが個人購入品などがあります。
ブーツとパンツとの結合部はこのようにブーツブラウザを利用して止める事になっており、一般、特に水とあまり触れ合わない部隊では大抵しっかりと裾の処理が行われています。
特殊や揚陸任務で水が溜まる恐れがある部隊では処理が甘い事も多々あります。
足回りについての考察はここで閉じさせていただきます。
次回からはヘッドウェアについてのお話です。
それでは、また( ´ ▽ ` )ノ 続きを読む
今回は足回りについての考察を始めたいと思います。
2002年頃採用されたこちらは
Hot Weather Steel Toe Boots/Marine Corps Boots/Desert Boots/Coyote Boots などの名前で知られています。
踵部分のグローバルアンカー、着脱し易いスピードレース仕様などが特徴的なブーツです。
belleville社他数社から納品されています。
そしてこちらは
RAT(Rugged All Terrain) Boots
2011年頃からWellco/BATES/Danner などから納品されていたブーツです。
先ほどのブーツと概要は変わりませんが、踵、つま先部分に補強が加えられています。
残念ながらBATES社のものではリコールがあり、2014年初頭に生産中止となってしまいました。
そして最近は、海兵隊新型ブーツ制作の動きもあります。
紹介したブーツの左足にはドッグタグをこのように装着します。
首に付けるとうるさい上、頭が飛ばされた際に個人を認識できなくなる為だそうです。
靴下についてですが、主にコヨーテカラーの支給品、白色の冬季防寒用のもの、少数ですが個人購入品などがあります。
ブーツとパンツとの結合部はこのようにブーツブラウザを利用して止める事になっており、一般、特に水とあまり触れ合わない部隊では大抵しっかりと裾の処理が行われています。
特殊や揚陸任務で水が溜まる恐れがある部隊では処理が甘い事も多々あります。
足回りについての考察はここで閉じさせていただきます。
次回からはヘッドウェアについてのお話です。
それでは、また( ´ ▽ ` )ノ 続きを読む
2014年07月11日
戦闘服③
こんにちは。
今回は戦闘服の付属品についての考察を始めたいと思います。
まずはInsignia 所謂襟章についてです。
首元に付ける金属章なので安全性を考えてか陸軍では廃止されましたが、海兵隊での伝統重視な考えによりヴェトナム戦争以来未だに使用され続けています。
MCCUU着用時に襟にこのように装着します。
そしてよくボディアーマーのネームパッチに貼り付けているミリフォトがございますが、
新規購入するのではなく、このように襟から流用している隊員も見受けられます。
FROGの場合は襟に装着しているものは見受けられず、腕にしているものが一般的です。
しかし、ベルクロにIRパッチや止血帯の端を止めている隊員もいるので公式の仕様なのかは不明です。
更に最近はパッチタイプのものを使用する例もあります。
続いてはベルトについてです。
ベルトはMCMAP(The Marine Corps Martial Arts Program)という格闘訓練を修了すると配給されるものを使用し、2008年からは新兵などのMCMAP未修練者以外全員が使用することとなりました。
このベルトは柔道の帯の様に修了実績により色の異なるものが渡されます。
戦闘服の付属品についての考察はここで閉じさせていただきます。
次回は靴など足回りについてのお話です。
それでは、また( ´ ▽ ` )ノ 続きを読む
今回は戦闘服の付属品についての考察を始めたいと思います。
まずはInsignia 所謂襟章についてです。
首元に付ける金属章なので安全性を考えてか陸軍では廃止されましたが、海兵隊での伝統重視な考えによりヴェトナム戦争以来未だに使用され続けています。
MCCUU着用時に襟にこのように装着します。
そしてよくボディアーマーのネームパッチに貼り付けているミリフォトがございますが、
新規購入するのではなく、このように襟から流用している隊員も見受けられます。
FROGの場合は襟に装着しているものは見受けられず、腕にしているものが一般的です。
しかし、ベルクロにIRパッチや止血帯の端を止めている隊員もいるので公式の仕様なのかは不明です。
更に最近はパッチタイプのものを使用する例もあります。
続いてはベルトについてです。
ベルトはMCMAP(The Marine Corps Martial Arts Program)という格闘訓練を修了すると配給されるものを使用し、2008年からは新兵などのMCMAP未修練者以外全員が使用することとなりました。
このベルトは柔道の帯の様に修了実績により色の異なるものが渡されます。
戦闘服の付属品についての考察はここで閉じさせていただきます。
次回は靴など足回りについてのお話です。
それでは、また( ´ ▽ ` )ノ 続きを読む
2014年07月10日
戦闘服②
こんにちは。
今回は戦闘服の中でも特にFROGについての考察を始めたいと思います。
FROGとは Flame Resistant Organization Gearの略称で2006年に開発され、コンバットシャツパンツ、長袖、半袖シャツ、グローブ、バラクラバからなります。
薄手で耐火性があり、特にコンバットシャツは胴部分が通気性の良い薄い素材で、腕の部分は従来のBDUのような硬い素材で構成されており、ボディアーマー使用時の使い勝手の良さを強く意識したデザインとなっています。
コンバットパンツはMCCUUのものに似ていますが、よりピンクがかった色合いになっており、またベルトループが太くなっております。
FROGについての考察はここで閉じさせていただきます。
ここからは主観的な考えを述べさせていただきます。
MCCUUもFROGもデザート、ウッドランドのものがそれぞれありますが、森林地域ではMCCUU、砂漠地域ではFROGが人気があるように感じられます。
これは、森林には障害物が多いため強度があるMCCUUが、開けた砂漠に於いては通気性を優先してFROGを選択しているものだと思われます。
同じ理由で森林では内装型ニーパット、砂漠では着脱しやすい外装型ニーパットが人気なのかもしれません。
ニーパットについてはまた別の機会にお話しましょう。
次回は戦闘服の付属品についてのお話です。
それでは、また( ´ ▽ ` )ノ
続きを読む
今回は戦闘服の中でも特にFROGについての考察を始めたいと思います。
FROGとは Flame Resistant Organization Gearの略称で2006年に開発され、コンバットシャツパンツ、長袖、半袖シャツ、グローブ、バラクラバからなります。
薄手で耐火性があり、特にコンバットシャツは胴部分が通気性の良い薄い素材で、腕の部分は従来のBDUのような硬い素材で構成されており、ボディアーマー使用時の使い勝手の良さを強く意識したデザインとなっています。
コンバットパンツはMCCUUのものに似ていますが、よりピンクがかった色合いになっており、またベルトループが太くなっております。
FROGについての考察はここで閉じさせていただきます。
ここからは主観的な考えを述べさせていただきます。
MCCUUもFROGもデザート、ウッドランドのものがそれぞれありますが、森林地域ではMCCUU、砂漠地域ではFROGが人気があるように感じられます。
これは、森林には障害物が多いため強度があるMCCUUが、開けた砂漠に於いては通気性を優先してFROGを選択しているものだと思われます。
同じ理由で森林では内装型ニーパット、砂漠では着脱しやすい外装型ニーパットが人気なのかもしれません。
ニーパットについてはまた別の機会にお話しましょう。
次回は戦闘服の付属品についてのお話です。
それでは、また( ´ ▽ ` )ノ
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2014年07月09日
戦闘服①
こんにちは。
今回は戦闘服、とりわけMCCUUについて考察していきたいと思います。
まず、カラーですがMARPATというものでデザートとウッドランドのそれぞれがあります。
デジタルパターンを米五軍の中で最初に取り入れたことでも有名です。
ではこの2つのパターンをどの様に使い分けているかというと、非戦闘職種の隊員は3/7と11/7を基準に夏服としてデザート、冬服としてウッドランドを着用します。特に夏場は2011-2013年を除いて袖捲りが唯一許可されている、といった特徴もあります。
戦闘職種の隊員は前線の指揮官(中隊長?)の指示でどちらを着用するか指示されます。
デザイン面での特徴は、斜めに開いた胸ポケットとその左胸に刺繍されたグローバルアンカー、肘と膝の内部にパットを挿入するためのポケット、右胸、右腿のネームタグ、襟と股間付近内面の小型ネームタグ、左胸のU.S.MARINESタグ、そしてベルクロを使用せずボタン式を多く採り入れている、などといったものがあります。
MCCUUは有名なものですので、考察はここで閉じさせていただきます。
次回はFROGなどについてのお話です。
それでは、また( ´ ▽ ` )ノ
続きを読む
今回は戦闘服、とりわけMCCUUについて考察していきたいと思います。
まず、カラーですがMARPATというものでデザートとウッドランドのそれぞれがあります。
デジタルパターンを米五軍の中で最初に取り入れたことでも有名です。
ではこの2つのパターンをどの様に使い分けているかというと、非戦闘職種の隊員は3/7と11/7を基準に夏服としてデザート、冬服としてウッドランドを着用します。特に夏場は2011-2013年を除いて袖捲りが唯一許可されている、といった特徴もあります。
戦闘職種の隊員は前線の指揮官(中隊長?)の指示でどちらを着用するか指示されます。
デザイン面での特徴は、斜めに開いた胸ポケットとその左胸に刺繍されたグローバルアンカー、肘と膝の内部にパットを挿入するためのポケット、右胸、右腿のネームタグ、襟と股間付近内面の小型ネームタグ、左胸のU.S.MARINESタグ、そしてベルクロを使用せずボタン式を多く採り入れている、などといったものがあります。
MCCUUは有名なものですので、考察はここで閉じさせていただきます。
次回はFROGなどについてのお話です。
それでは、また( ´ ▽ ` )ノ
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2014年07月08日
下着
こんにちは。
下着、いわゆるインナーは兵士のほぼ全員が着用しているのにあまり考察されていることがありません……
では早速、海兵隊の下着についての考察を始めたいと思います。
まず、カラーですが、OD系、ブラウン系の二色が基本です。
そして、下着は戦闘服とは異なり露出度が少ないので、あまり「砂漠だから」「森林だから」といって一々変更していないようですね。
種類は主に DUKE/DRI DUKE/LWCWUS/FROG XGO などがあります。
この中でも特に DRI DUKE は通常の被覆のタグがある部分にEagle,Globe & Anchor(所謂グローバルアンカー)章が入っていていかにも海兵隊らしいと感じられます。
その他にもアンダーアーマー社などスポーツ用品等を取り扱っている会社のものの使用も見受けられますが、PX品なのか公式な支給品なのか定かではありません。
下着についての考察はここで閉じさせていただきます。
次回は戦闘服についてのお話です。
それでは、また( ´ ▽ ` )ノ 続きを読む
下着、いわゆるインナーは兵士のほぼ全員が着用しているのにあまり考察されていることがありません……
では早速、海兵隊の下着についての考察を始めたいと思います。
まず、カラーですが、OD系、ブラウン系の二色が基本です。
そして、下着は戦闘服とは異なり露出度が少ないので、あまり「砂漠だから」「森林だから」といって一々変更していないようですね。
種類は主に DUKE/DRI DUKE/LWCWUS/FROG XGO などがあります。
この中でも特に DRI DUKE は通常の被覆のタグがある部分にEagle,Globe & Anchor(所謂グローバルアンカー)章が入っていていかにも海兵隊らしいと感じられます。
その他にもアンダーアーマー社などスポーツ用品等を取り扱っている会社のものの使用も見受けられますが、PX品なのか公式な支給品なのか定かではありません。
下着についての考察はここで閉じさせていただきます。
次回は戦闘服についてのお話です。
それでは、また( ´ ▽ ` )ノ 続きを読む